第7回(2008年度)助成選考の講評
第7回(2008年度)助成は、例年のように国内向け800万円(うち調査研究助成へ650万円、研修奨励助成へ150万円)、アジア向け200万円合計1,000万円の予算で募集を行いましたが、例年を上回る応募が寄せられました。
国内枠には、調査研究助成に59件(応募額5,779万円)研修奨励に5件(応募額444万円)の応募でした。選考委員会での書類審査の後、2月16日の公開プレゼンテーションを経て、また研修奨励助成の対象者には面接のうえ、理事会で助成する方々を決定しました。
2008年度国内枠の助成は、調査研究助成18件(助成額755万円)および研修奨励助成4件(130万円)合計22件(助成総額885万円)と、当初予算内に収めることは困難と理事会で判断し予算額を上回る助成を決定しました(アジア向け助成は別枠です)。助成先、調査研究・研修奨励の内容については別表をご覧下さい。
今回も幅広い分野からの応募でしたが、助成対象となったのは現代社会が直面する廃棄物、核・原子力、エネルギー、水、健康、環境破壊等々、日々の暮らしに直結する調査・研究ばかりです。アジアの国々へでかけ渦中の問題に取り組む女性たちの助成成果も期待されるところです。
この中で、同じ分野の問題に取り組む各地のグループ相互の紹介、情報交換、成果の共有など、従来の助成活動を超えたより広い役割が事務局に要請されているので、それを可能にする体制を今後充実していきたいと考えています。
高木仁三郎市民科学基金では、「市民研究サポート」と名付けた特定プロジェクトに対する委託研究を、一般公募とは別に助成しています。昨年7月に起った新潟県中越沖地震により東京電力の柏崎刈羽原子力発電所の全7基は停止していますが、喫緊の「市民研究サポート」として「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」(柏崎刈羽・科学者の会)へ、今年もひきつづき委託研究への支援をおこなっていきます。
私たちは様々な脅威に直面していますが、応募テーマの緊急性は、助成選考の決定上の大きな要素です。毎年繰り返しますが、公の研究費や企業からの研究費、また他の助成財団などからの助成を受けるのが適当と思われるテーマや応募者への助成の必要度は低いと判断します。意欲が肝要なことはいうまでもありませんが、実行可能な実施計画とそれを裏付ける資金計画が伴なうことも肝心です。そして決定した助成額に沿って当初計画の大幅変更をお願いする場合もあります。困難な条件の下で活動を続ける助成先の方々へは心苦しいのですが、意を汲んで市民から寄せられた財源を有効に活用していただきたいと願っています。
世界の人々が平和で安心して暮らせる、持続可能な世の中の実現をめざし、市民の立場から調査研究・研修を行う人々を励まし資金面から応援するのが高木仁三郎市民科学基金の目的です。理事会、選考委員会、会員、寄付を寄せてくださる方々、そして助成を受ける皆さんと、互いに出せる力を出し合い協力いただきながら、市民一人一人の視点から安全、人権、環境、経済、平和にかかわる問題に取り組む市民科学者を生み出し、地球の未来をとりもどすための活動の一翼を担いたいと思います。
高木仁三郎市民科学基金は認定NPO法人となり、寄せられた寄付は寄付金控除の対象となります。どうぞご活用下さい。関係各位の皆さまからの篤いご支援・ご協力、この場を借りて深く感謝申し上げます。
高木仁三郎市民科学基金
事務局長 高木久仁子
【第7回(2008年度)助成 応募・選考のまとめ】
・助成予算 |
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・募集期間 |
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・応募件数 |
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・書類選考 |
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・最終選考 |
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・初年度からの累計 |
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